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へるすけあこらむヘルスケアコラム

諸外国の医療制度② ~イギリス・アメリカの医療制度~

2022.06.05

本コラムでは、世界の医療制度をご紹介しています。前回は、社会保険方式を採る国としてドイツを取り上げました。今回は、税方式を採る国としてイギリス、次いで世界でも稀な国民皆保険制度を採らない国としてアメリカを取り上げます。

イギリスの医療制度

イギリスは、税方式による公的医療保険制度を導入しています。1946年NHS法(National Health Service Act)が制定され、全ての国民に対し、予防医療、リハビリを含めた包括的保健医療を原則無料で提供しています。財源は、80%以上が租税、国民保険からの拠出金が18%強、患者負担が1%強となっています。
税方式を採るイギリスでは、フリーアクセス制を採っていません。国民は、まず自分が登録したかかりつけの診療所の一般医(GP)の診察を受けます。検査や入院が必要な場合には、GPから病院が紹介されます。このようにGPが高度医療サービス利用のゲートキーパーの機能を持っており、診療所と病院の役割分担がはっきりと分かれています。なお、GPの紹介状がなければ、公的病院で受診することはできません。民間医療機関での受診は可能ですが、全額自己負担となります。その額は風邪の症状での診察で、およそ3万円前後が目安となるようです。そのため、多くの患者がGPの受診を望みますが、地域によっては予約が取りにくいことも多いようです。

アメリカの医療制度

アメリカは、先進国の中で唯一国民皆保険を採らない国です。イギリスからの独立を果たした歴史的経緯から、伝統的に自助の風潮が強い国家であり、その特徴は医療制度にも表れています。基本的に国家による公的医療保険制度はなく、国民は不測の事態に備えて、自分で民間保険に加入する必要があります。これが難しい高齢者や低所得者等に対してのみ、国家の支援が行われます(※1)。国民は、基本的に民間保険に加入しますが、大手企業を中心にフリンジベネフィット(正規賃金以外の緒給付)が充実しています。
アメリカの民間医療保険には、主に3つの保険プランがあります。

 

■アメリカにおける主な民間医療保険

なお、アメリカ独特のシステムとして、一般的な医療保険は通常内科を指し、歯科と眼科は別の扱いとなります。そのため、医療保険でカバーするためには、該当するプランに加入することが必要となります。
国民は、自分が加入している保険の種類によって、受診する医療機関が変わります。PPO以外の場合、かかりつけ医(PCP:Primary Care Physician)の診察が必要です。内科以外の受診を希望する場合には、かかりつけ医のほか、「専門医」(皮膚科、外科、耳鼻科、産婦人科等)の登録も必要となります。

※1 高齢者を対象とするMedicare,未成年者を対象とするSCHIP,低所得者・身障者を対象とするMedicaidの3種類があります。

おわりに

本コラムでは、全2回にわたり諸外国の医療制度を取り上げました。各国の医療制度は、歴史的背景や文化的価値観などにより、各国の国民の医療制度に対する考え方を反映しています。主要な国を全て取り上げることはできませんでしたが、医療制度に対する各国の考え方は、大きく以下のように類型化されます。高福祉・高負担を採るスウェーデン、中程度の負担を採るドイツ・フランス、さらに低負担を採るイギリス・日本、そして、民間保険を基礎とするアメリカです。
OECDが発表している資料によれば(※2)、医療費の対GDP比率は、圧倒的にアメリカが高く16.8%、次いでドイツ11.7%、日本11.0%、イギリス10.2%です。民間保険が主体であるアメリカが高い比率の理由として、そもそもアメリカの医療価額が高額であることや、公的医療制度の対象者数が多いことが挙げられています。一方、公的財源による支出割合は、スウェーデン85%、日本84%(内50%は社会保険料)、イギリス79%、ドイツ78%(内65%は社会保険料)、アメリカ51%(内12%は社会保険料)となっています。
国民性や医療制度の考え方の違いもあり、一概にどの制度が優れているとはいえません。ただ、私達が当たり前に享受している医療制度が、決して世界共通のものではないということは、知っておくとよいと思います。このコラムが、皆さんの知識の一助となれば幸いです。
※2 OECD Health Statistics 2021

 

●プロフィール
竹内千佳
行政書士。成城大学非常勤講師。スピカ総合法務事務所・所長。医療法人の許認可業務及び非営利法人の許認可業務を専門としている。実務の傍ら、現在は筑波大学大学博士課程に在籍し、医療法の研究を行う。

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