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へるすけあこらむヘルスケアコラム

【アレルギー】夏のアレルギーと寒暖差アレルギーについて

2023.07.21

花粉症はスギだけ?

「何か病気はありますか?」

「花粉症だけです」

こういうやりとりが耳鼻科ではよくあります。ただ花粉症はスギ花粉症のことを指すものではありません。

花粉症には下記のものがあります。

●季節性アレルギー性鼻炎=ハンノキ、スギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサなど

●通年性アレルギー性鼻炎=ダニ、ペット(犬や猫)の毛、真菌(カビ)など

季節性アレルギー性鼻炎は花粉症と考えて良いでしょう。

どのような花粉がどの時期に飛散するかは異なります(花粉カレンダー)。

 

また、植物の種類により飛散の仕方に特徴があります。

●木本(もくほん)植物=ハンノキ、スギ、ヒノキなど

●草本(そうほん)植物=カモガヤ、ブタクサ、ヨモギなど

 

これらには大きな違いがあります。それは飛散する距離です。木本植物に比べて草本植物は飛散距離がかなり短いです。つまり、草本植物の花粉でアレルギーがある方は原因となる植物が生えている地域に近づかないだけでかなり症状が緩和されます。

 

 

寒暖差アレルギーはアレルギー?

夏場は外が暑く、建物内に入ると冷房が効いていることが多いでしょう。こういう温度差があるところに行くと水っぱなが出てくる経験がある方は少なくないと思います。病院を受診すると、「寒暖差アレルギーですね」と説明されるので、「アレルギーは何かありますか?」と聞かれると、「寒暖差アレルギーがあります」という方もいます。

では、寒暖差アレルギーとは本当のアレルギーなのでしょうか? 答えはノーです。

寒暖差アレルギーは医学的な病名ではなく、医学的には「本態性鼻炎」「血管運動性鼻炎」と呼ばれます。血管運動性鼻炎は、「鼻に対して温度変化の刺激→神経刺激が脳へ伝達→刺激によって鼻症状が出る」といった流れです。アレルギー性鼻炎は3症状として「鼻閉、水様性鼻汁、くしゃみ」がありますが、血管運動性鼻炎では全てが揃わないことも多いです。

 

手術治療は有用か? どのような手術があるか

アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎ともに根本的な治療として手術を行うことは基本的にはありません。しかし、どちらの病気であっても適切な対処をしたが症状が緩和されない場合は手術を行うことがあります。

手術は薬の治療と違って長期間効果が期待できます。時間をあまりかけたくないがずっと良い状態を期待する人には良いと思われます。ただし、アレルギーの体質を改善されるわけではないため、術後も薬による治療は続ける必要があります。

手術には次の3つの方法があります。

●粘膜変性手術
外来で行われます。粘膜を焼き、鼻粘膜でアレルギー反応が起きにくくします。レーザーを鼻粘膜に1〜3回当てます。表面麻酔を行って手術を行うため、痛みも少なく出血も少ないです。小児から行うことが可能です。術後半年から数年間効果が持つことが多いです。骨が分厚くて、粘膜が薄い人の場合は次に紹介する鼻腔形態改善手術が勧められます。

 

●鼻腔形態改善手術
鼻中隔の弯曲がある人、骨肥厚が強い人に勧められます。鼻閉(鼻づまり)を改善するのが目的とされます。メスを入れるため、入院手術で行われる場合もあります。鼻中隔の弯曲は再発しませんが、アレルギー反応が強い人は、再度下鼻甲介が腫脹することがあります。その場合は、前述の粘膜変性手術を術後半年から1年程度経過してから行う場合もあります。

 

●鼻漏改善手術

鼻の中で鼻汁を制御する副交感神経を切断する「後鼻神経切断術」がそれに該当します。鼻汁だけでなく、くしゃみやむずむず感にも効果があるといわれています。ただし、注意すべき疾患もあります。いわゆる老人性鼻漏と呼ばれる、高齢者で鼻汁だけを症状として訴える人の場合です。後鼻神経切断術は有用な場合もあるのですが、術後にかえって鼻の乾燥感を訴える方もいます。一度こうなってしまうと、改善することが非常に難しくなります。手術が適応になるかは慎重に判断する必要があります。

 

図:アレルギー性鼻炎に対する術式

引用元:鼻アレルギー診療ガイドライン

最後に

どうでしたでしょうか。「花粉症」=「スギ花粉症」と思っている方は多かったかもしれませんが、季節ごとに飛散する花粉は違います。自分がアレルギー性鼻炎じゃないかな? と思った際には耳鼻咽喉科を受診して、採血を含めてしっかりと診断してもらう必要があります。自称アレルギー性鼻炎の方も医療機関にいらっしゃる時があり、採血やCTの検査を全くしたことがないと仰ることも少なくありません。採血検査は毎年や数年ごとに行う必要はありません。ただし、今まで症状がない時期に急に症状を感じるようになった場合には再度行うことが勧められます。

また、適切な治療を行っているにもかかわらず、症状が取れない方には手術も選択肢になります。症状がしっかりと取れている場合には不要ですが、全く改善がない場合には他の医師に相談するなどして、診断のプロセスをやり直してもらうことも一つのチョイスかもしれません。

 

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