家族の健康管理から医療資格者との橋渡し役まで

×

ヘルスケアプランナー検定の 練習問題に挑戦!!

練習問題のレベルを選択

ホームヘルスケアプランナー

ヘルスケアプランナー

おんらいんせみなーオンラインセミナー

市販薬の購入方法が変わる?!改正薬機法の改正ポイント(第5回 2025年11月)

2026.02.05

2025年11月29日(土)、ホームヘルスケアプランナー検定、ヘルスケアプランナー検定取得者を対象にしたオンラインセミナー「市販薬の購入方法が変わる? 改正薬機法の改正ポイント」(主催/一般社団法人ヘルスケアプランナー検定協会)を開催しました。

当日は、講師として読売広告社の伊與博美先生をお招きし、「市販薬の購入方法が変わる? 改正薬機法の改正ポイント」をテーマに約1時間の講演が行われました。当日はセミナーへ21名の方が参加し、セミナー終了後、質疑応答などが行われました。

薬機法とは

薬機法は、以前は薬事法と呼ばれていました。数年ごとに改正が繰り返されてきましたが、2014年の法改正で「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と名称が変更され、略して「医薬品医療機器等法」または「薬機法」と呼ぶようになりました。薬機法の目的は第一条に記載されています。

 

第一条

医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のため必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。

 

人の身体に直接作用する医薬品等は品質や有効性、安全性が国民の健康へ直結します。そのため医薬品の開発、承認、製造、流通、販売、広告表示など、さまざまな段階において規則が設けられています。規制対象は大きく「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」「医療機器」「再生医療等製品」の5つに分けられ、今回は主に「医薬品」の中から医療用医薬品と、ドラッグストア等で購入できるOTC薬品(市販薬)の2種類を中心に紹介していきます。まず薬機法では、どのようなことが違反行為となるのでしょうか。

 

(1)医薬品等の製造・販売について

医薬品等の製造・販売などを事業として行う場合、厚生労働大臣や都道府県知事の許可や登録を受けずに営業した場合

 

(2)医薬品等の取扱いについて

医薬品の販売や表示、記載事項などの規制に反した場合

 

(3)医薬品等の広告について

・虚偽・誇大広告等の禁止(薬機法第66条)

・特定疾病用医薬品等の広告の制限(薬機法第67条)

・承認前医薬品等の広告の禁止(薬機法第68条)

 

違反した場合には「行政処分」、「課徴金納付命令」、「刑事罰」の3つの罰則が課せられます。薬機法は規制の対象外である、美容器具や除菌グッズなどの健康雑貨、食品やサプリメント、栄養機能食品やトクホ(特定保健用食品)、機能性表示食品に関して、医薬品のような効果効能を謳ってしまうと抵触する恐れがあり、広告等では薬機法を十分理解した上で制作する必要があります。

また、規制対象は「何人も」とされており、広告主だけでなく関与した広告代理店、インフルエンサーなど全ての人が規制の対象となります。違反した場合は、企業にとって多大な経済的損失となるだけでなく社会的信用をも失うことになりかねません。対象となる医薬品だけでなく、健康食品や美容雑貨などを扱う際にも、十分な理解が必要な法律です。

薬機法改正の目的と背景

2025年、数年ぶりに薬機法が大きく改正されました。医薬品の供給不足や創薬環境の変化などの状況に対応し、引き続き品質の確保された医薬品等を国民に迅速かつ適正に提供することを目的としています。次の1から4の項目で複数の制度変更があり、薬機法以外にも医療法など関連した法律が同時に改正されました。項目ごとに施行時期が異なり、段階的に施行されています。

 

(1)医薬品等の品質及び安全性の確保の強化(主な対象:製薬メーカー)

(2)医療用医薬品等の安定供給体制の強化等(主な対象:医療用医薬品メーカー)

(3)より活発な創薬が行われる環境の整備(主な対象:創薬企業)

(4)国民への医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化等(主な対象:小売業)

 

 

(1)医薬品等の品質及び安全性の確保の強化

医薬品の製造販売業者に品質保証責任者及び安全管理責任者の設置が義務付けられました。また、企業の責任役員が原因で薬事に関する法律違反が生じ、国民の生命や健康に重大な影響を与える可能性がある場合、厚生労働大臣が当該役員の変更命令を出せるようになりました。

 

(2)医療用医薬品等の安定供給体制の強化等

現在、日本では医療用医薬品の約20%が限定出荷・供給停止になっています。原因の一つとして、少量多品目生産により生産効率が低下していることが指摘されており、その状況を踏まえ、供給体制整備が義務化されることとなりました。医療用医薬品メーカーには、供給体制管理責任者という新しい役職が設置され、出荷制限などの見込みがある時は届出義務が生じます。また、増産協力を要請するための体制整備も必要となり、後発医薬品企業の再編や設備投資を支援する基金も創設されました。

 

(3)より活発な創薬が行われる環境の整備

日本では、海外で承認された医薬品の国内承認が遅れる「ドラッグ・ラグ」や、希少疾病や小児用医薬品が国内で開発されていないことによる「ドラッグ・ロス」が起きており、日本の創薬力強化が課題とされています。この現状を踏まえ、条件付き承認制度の適用が拡大されました。具体的には、有効性が予測される医薬品はより早く承認されるようになります。また、医療用医薬品の承認申請時には、小児用医薬品の開発計画策定が努力義務となり、官民連携の専門基金も新設されることとなりました。日本では子どもの臨床試験が難しく、新薬も成人のみの適用がほとんどだったため、一歩踏み込んだ対策として評価されています。

 

(4)国民への医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化等

少子高齢化が進んで医療需要が拡大する中、薬剤師が慢性的な人手不足となっています。このような現状を踏まえ、専門的知識を持つ薬剤師などの人材を有効活用するための制度が導入されます。具体的には薬剤業務の一部を外部委託できる仕組みになり、薬剤師の対物業務が効率化され、患者さんへの服薬指導や健康相談などへ注力できることが期待されています。薬剤師が常駐しない店舗には遠隔販売制度が導入され、より手軽に医薬品を購入できるようになります。一方で、特定の医薬品については販売方法の厳格化も進められます。

薬機法改正による影響

薬機法の改正によって、具体的にどのような変化があるでしょうか。改正項目の中から、より私たちの暮らしに身近な影響が考えられる、(4)について3つのポイントを紹介します。

 

(1)医薬品の分類と販売方法

OTC医薬品は要指導医薬品と一般用医薬品の二つに分類されます。一般用医薬品は、薬剤師や登録販売者が関与する必要性の高い順に第一類、第二類、第三類医薬品へ分類されています。今回の法改正では、要指導医薬品のオンライン服薬指導が可能となりインターネット上で販売できるようになりました(一部の品目では、引き続き対面指導・販売が必要)。

また、これまで要指導医薬品は原則3年間市販薬として販売された後、安全性に問題がなければ一律に一般用医薬品へ移行されていましたが、今後は必要に応じて一般用医薬品への移行を止めたり、適切な分類へ戻したりすることができるようになりました。

 

(2)市販薬の乱用を防ぐ

市販薬の風邪薬や咳止め薬などを、本来の効果効能ではなく、精神への作用を目的として、適正な用法用量を超えて服用するオーバードーズが若者を中心に広がっています。近年はSNSを通して対象となる製品名や体験談が広まり、一般の人が薬物乱用の情報に接しやすくなり、軽い気持ちで市販薬の乱用に陥りやすい状況が指摘されています。2023年に薬機法の一部が改正されてすでに対応が促進されていますが、規制を強化するための改正が必要となりました。

 

<改正内容>

・2023年に指定された6つの成分に加え、デキストロメトルファン(せき止め成分)、ジフェンヒドラミン(アレルギー薬成分)が「乱用等のおそれのある成分」へ追加

・該当する製品については、新たに「指定乱用防止医薬品」という区分を設け、販売方法を明確に規制

・販売時、薬剤師等に必要な事項を確認させ、情報提供を行わせること等を義務付ける

・若年者(18歳未満)への大容量製品又は複数個の販売を禁止

・商品陳列は顧客の手の届かない場所とする。また、一定の条件を満たす場合には、専門家が配置される場所から目の届く範囲への陳列(7メートル以内)のいずれかとする。

 

オーバードーズ問題については、生きづらさや孤独など社会的不安が背景にあります。薬の販売規制だけでなく、医療や福祉、教育の分野とも協力した対策が必要です。実際に、小中学校で薬の教育を実施したり、相談窓口を告知するキャンペーンを開催したり、多くの自治体で個別の取り組みが始まっています。

 

(3)一般用医薬品の販売方法

薬剤師など有資格者がいない店舗でも、同じ都道府県内の別店舗にいる薬剤師(当面の間)とビデオ通話でやりとりをすれば、一般用医薬品が購入できるようになります。深夜や早朝にコンビニで薬を購入したり、薬局が少ない過疎地域でも購入アクセスが改善されたりすることが期待されています。また、ビデオ通話を通して薬剤師が「乱用の疑いがある」と判断した場合には購入を認めないため、乱用防止対策の強化にもつながります。

医薬品の適正使用とセルフメディケーションの推進

薬を安心して使うには、リスクや使い方など正しい情報を知ることが大切です。使用前に説明書をよく読む、用法用量、タイミングを守る、複数の薬の飲み合わせ、食べ物やサプリメントの影響も注意が必要です。また、保管方法や使用期限を守り、薬について相談できるかかりつけ薬剤師や薬局などを持つこともお勧めしたいと思います。

病気やけがをした時に頼りになるのが薬ですが、普段から健康の維持や促進、管理することも大切です。WHOでは「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」を、セルフメディケーションと定義しています。超高齢社会とされる日本は、国民皆保険制度を維持するためにもセルフメディケーションを推進し、軽い症状は自分で対応する仕組みを整えることが求められています。それにより医療提供体制の効率化が叶い、医療機関は重症患者や専門治療により集中できるようになります。また、感染症が流行した際には、医療逼迫のリスクを減らす効果も期待されています。

 

<セルフメディケーションで期待される効果>

・医療費抑制

・医療資源の最適化

・国民の利便性向上

・健康寿命の延伸

 

セルフメディケーション推進のために、国としてもさまざまな対策を実施しています。その一つが、セルフメディケーション税制です。

 

<セルフメディケーション税制>

2017年に開始、OTC医薬品の購入費用が高額になった場合、一定の条件を満たせば所得控除を受けることができる。対象の医薬品には、パッケージにセルフメディケーション税制マークが表示されている。

また、「骨太方針2025」では、セルフメディケーションの意識向上につながるOTC類似薬の保険給付の在り方の見直しが検討されています。

 

<OTC類似薬>

既存の市販薬と同じ成分や効果、効能を持つ医療用薬品。湿布薬や皮膚薬、風邪薬など約7,000種に上る。受診して処方されると保険対象でしたが、2026年度から保険適用外になる可能性があります。※

実現されれば国の医療費削減につながり、国民のセルフメディケーション意識の向上になると期待されています。一方で保険適用外になることで、患者さんの負担が大きくなります。症状があっても受診を控え、適切な診療が遅れてしまい、健康被害が広がる可能性も懸念されています。しかし、今後少しずつ適用される医薬品が増えてくるものと予想されます。OTC医薬品を正しく知って正しく使うこと、セルフメディケーションを促進させることが、今後の要となってくるでしょう。

 

 

※2025年12月25日の厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会において、OTC類似薬は保険適用を維持したまま、対象となる77成分のみ、薬剤費の1/4を追加負担することになりました。この新たな仕組みが2027年3月にも導入される見通しです。

(2025年11月29日講演時点の内容です)

戻る